今回は急性低音障害型感音難聴、いわゆるストレス難聴に関する話題。このテーマはこれまでにも何度か取り上げて解説してきましたが、今回はQ&A形式にして解説してみたいと思います。
Q1:どのような症状がありますか?
耳閉感(耳のつまる感じ)が最も多く、耳鳴や難聴で気付くことも多いです。ふらつきを伴うこともあります。
Q2:急性低音障害型感音難聴以外に耳のつまる病気は?
外耳炎、耳垢、外耳道異物、耳管狭窄症、耳管開放症、滲出性中耳炎、メニエール病や聴神経腫瘍など、外耳、中耳、内耳といろいろな部位に起こる病気があります。そのほか、脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)や自律神経失調症、神経症、顎関節症など耳以外の疾患でも耳閉感が起こることがあります。
Q3:男性と女性、どちらに多いですか?なりやすい年代はありますか?
女性に多いのが特徴です。年齢では30台が最も多いです。女性の方がストレスを受けやすく、この年代が仕事、子育て、その他の家庭環境でストレスが多いために発症しやすいのではないかと考えられますが、はっきりした理由は分かっていません。
Q4:原因はなんですか?
ストレスや過労、睡眠不足になると発症しやすくなります。具体的には、職場での配置換え、転職、転居、受験、介護や育児疲れなどです。
急性低音障害型感音難聴は内耳のトラブルで起こります。急性低音障害型感音難聴では、内耳の中に入っている内リンパ液が多くなりすぎて、内リンパを入れている袋である内リンパ腔が水ぶくれの状態になってしまうのです。この状態を内リンパ水腫というのですが、内リンパ水腫になると内耳の中でも特に低音を担当する部分が障害を受けやすくなり、低音に限定した難聴が起こるのです。
Q5:メニエール病との違いは?
どちらも内リンパ水腫(内耳の中で音を伝えるために入っている微量のリンパ液が、多くなりすぎた状態)が原因と考えられており、初発症状のうち、難聴と耳閉感、耳鳴などは共通しています。また聴力検査の結果も同じパターンを示すことが多く、最初は区別がつきにくいこともあります。 最も異なるのは、めまいの有無です。めまい、特に回転性めまい(自分がぐるぐる廻る感じ、あるいは周りがぐるぐる回る感じ)が、難聴と耳鳴とほぼ同時に出現したらメニエール病の可能性が高くなります。ただし、メニエール病のなかでもめまいのないタイプがあり、蝸牛型メニエール病【現在はメニエール病非定型例(鍋牛型)といいます】との区別はつきません。ですから、ある病院では低音障害型感音難聴と言われたり、別の病院ではメニエール病と言われたりすることは充分にありえ、どちらかが間違いというわけでもないのです。
Q6:繰り返すことはありますか?
急性低音障害型感音難聴は、一度治ってから、数ヶ月後あるいは数年後に再発することがあります。また治療開始後数日間は良くなったり悪くなったり、症状が“変動”することもあります。
Q7:急性低音障害型感音難聴から、メニエール病になることはありますか?
急性低音障害型感音難聴で発症して、繰り返しているうちに中音域や高音域の聴力が低下したり、難聴が完全に回復しなくなったり、めまいも併発するようになった場合は、メニエール病の可能性が高くなります。そのような例は低音障害型感音難聴の数パーセント程度に見られますが、最初は急性低音障害型感音難聴だったものがメニエール病となったのか、あるいはもともとメニエール病だったのかは判断できません。
ただし短期間に何度も繰り返す例や、聴力が変動する例はメニエール病に移行する(あるいははじめからメニエール病であった)可能性が高くなります。
Q8:治療は?
薬物療法が主体となります。高浸透圧利尿剤であるイソバイドやメニレットゼリー、ビタミン剤、ステロイドホルモンなどが使われます。いずれも数日間程度内服していただくことが多いです。
Q9:急性低音障害型感音難聴になったら?
難聴の程度の割には耳閉感が強いことが多く、それがまた不安感やイライラを生むのですが、これがまたストレスとなり悪循環となりますと、長引きやすくなります。まずは、ほとんどの例が数日から数週間で治ること、内耳という限られた範囲でのトラブルであって、決して脳などの異常ではないことを理解していただくことが重要です。
ストレスを上手に解消すること、有酸素運動などはメニエール病と同様に有効だと思われます。
Q10:治りますか?
数日間から数週間程度で治ることが多いのですが、一部、治らないケースや、軽度の難聴の残るケースもあります。いったん治っても数週間、あるいは数ヶ月後に再発することはありますが、その場合難聴のタイプは同じく低音障害型であることがほとんどです。もしだんだんと水平型に近づく場合には、メニエール病の可能性も考えなくてはなりません。
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耳閉感(耳のつまる感じ)が最も多く、耳鳴や難聴で気付くことも多いです。ふらつきを伴うこともあります。
Q2:急性低音障害型感音難聴以外に耳のつまる病気は?
外耳炎、耳垢、外耳道異物、耳管狭窄症、耳管開放症、滲出性中耳炎、メニエール病や聴神経腫瘍など、外耳、中耳、内耳といろいろな部位に起こる病気があります。そのほか、脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)や自律神経失調症、神経症、顎関節症など耳以外の疾患でも耳閉感が起こることがあります。
Q3:男性と女性、どちらに多いですか?なりやすい年代はありますか?
女性に多いのが特徴です。年齢では30台が最も多いです。女性の方がストレスを受けやすく、この年代が仕事、子育て、その他の家庭環境でストレスが多いために発症しやすいのではないかと考えられますが、はっきりした理由は分かっていません。
Q4:原因はなんですか?
ストレスや過労、睡眠不足になると発症しやすくなります。具体的には、職場での配置換え、転職、転居、受験、介護や育児疲れなどです。
急性低音障害型感音難聴は内耳のトラブルで起こります。急性低音障害型感音難聴では、内耳の中に入っている内リンパ液が多くなりすぎて、内リンパを入れている袋である内リンパ腔が水ぶくれの状態になってしまうのです。この状態を内リンパ水腫というのですが、内リンパ水腫になると内耳の中でも特に低音を担当する部分が障害を受けやすくなり、低音に限定した難聴が起こるのです。
Q5:メニエール病との違いは?
どちらも内リンパ水腫(内耳の中で音を伝えるために入っている微量のリンパ液が、多くなりすぎた状態)が原因と考えられており、初発症状のうち、難聴と耳閉感、耳鳴などは共通しています。また聴力検査の結果も同じパターンを示すことが多く、最初は区別がつきにくいこともあります。 最も異なるのは、めまいの有無です。めまい、特に回転性めまい(自分がぐるぐる廻る感じ、あるいは周りがぐるぐる回る感じ)が、難聴と耳鳴とほぼ同時に出現したらメニエール病の可能性が高くなります。ただし、メニエール病のなかでもめまいのないタイプがあり、蝸牛型メニエール病【現在はメニエール病非定型例(鍋牛型)といいます】との区別はつきません。ですから、ある病院では低音障害型感音難聴と言われたり、別の病院ではメニエール病と言われたりすることは充分にありえ、どちらかが間違いというわけでもないのです。
Q6:繰り返すことはありますか?
急性低音障害型感音難聴は、一度治ってから、数ヶ月後あるいは数年後に再発することがあります。また治療開始後数日間は良くなったり悪くなったり、症状が“変動”することもあります。
Q7:急性低音障害型感音難聴から、メニエール病になることはありますか?
急性低音障害型感音難聴で発症して、繰り返しているうちに中音域や高音域の聴力が低下したり、難聴が完全に回復しなくなったり、めまいも併発するようになった場合は、メニエール病の可能性が高くなります。そのような例は低音障害型感音難聴の数パーセント程度に見られますが、最初は急性低音障害型感音難聴だったものがメニエール病となったのか、あるいはもともとメニエール病だったのかは判断できません。
ただし短期間に何度も繰り返す例や、聴力が変動する例はメニエール病に移行する(あるいははじめからメニエール病であった)可能性が高くなります。
Q8:治療は?
薬物療法が主体となります。高浸透圧利尿剤であるイソバイドやメニレットゼリー、ビタミン剤、ステロイドホルモンなどが使われます。いずれも数日間程度内服していただくことが多いです。
Q9:急性低音障害型感音難聴になったら?
難聴の程度の割には耳閉感が強いことが多く、それがまた不安感やイライラを生むのですが、これがまたストレスとなり悪循環となりますと、長引きやすくなります。まずは、ほとんどの例が数日から数週間で治ること、内耳という限られた範囲でのトラブルであって、決して脳などの異常ではないことを理解していただくことが重要です。
ストレスを上手に解消すること、有酸素運動などはメニエール病と同様に有効だと思われます。
Q10:治りますか?
数日間から数週間程度で治ることが多いのですが、一部、治らないケースや、軽度の難聴の残るケースもあります。いったん治っても数週間、あるいは数ヶ月後に再発することはありますが、その場合難聴のタイプは同じく低音障害型であることがほとんどです。もしだんだんと水平型に近づく場合には、メニエール病の可能性も考えなくてはなりません。
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